
皆さん、こんにちは!デザインやら印刷やらに関わるお仕事をされている方、お疲れ様です!
デジタル制作の世界って、新しい技術がどんどん出てきて刺激的ですよね。スマホもパソコンも、アプリもOSも、年々進化して「おぉ、すごい!」ってなる瞬間が多い。
でも、私たちDTP(デスクトップパブリッシング)の世界、特に「印刷」という最終ゴールがある環境だと、この「進化の波」にすぐに乗っかれない、なんとも歯がゆい事情があるんです。
制作環境とソフトウエアの関係って、ただの「使いやすさ」とか「最新機能」の話だけじゃない、もっと奥深くて、時には頭を抱えるレベルの「制約」や「しがらみ」が渦巻いているんですよ。今日は、そんなDTP制作現場の「マジ大変!」な実態を、ちょっと砕けた感じでぶっちゃけてみようと思います。
なぜ、すぐに「最新ソフト」を導入できないのか?
新しいソフトが出た!「動作が軽快になったよ!」「新機能がヤバいよ!」…聞くと使いたくなるのが人情ですよね。でも、DTPの制作環境、特に印刷物がゴールの場合、そう簡単には「はい、今日から最新版!」とはいかないのが現実なんです。
その最大の理由、それは「その先の工程(刷版出力等)の兼ね合い」です!
私たちが作ったデータは、最終的に印刷所さんに渡され、CTP(コンピューター・トゥ・プレート)という工程を経て「刷版」というものになります。このCTPや、それに関連するRIP(ラスターイメージプロセッサー)という機械やソフトが、「ある特定のバージョンのソフトから出力されたデータでないと、うまく処理できない」という制約を持っていることが非常に多いんです。
例えば、こちらが最新のInDesign 2024でピカピカのデータを作っても、印刷所さんのRIPが「うちの環境では、そのバージョンからのPDF/PSはうまく吐けないんだよね…ごめん!」なんてことになったら、もう目も当てられません。
「データは納品できたけど、印刷所でエラーが出て刷れない!」なんて事態になったら、時間もコストも大打撃。だから、制作現場では、最新のソフトを導入する前に、「うちの主要な取引先の印刷所さんは、どのバージョンのデータまでなら確実に受け入れられるか?」というのを、まず確認する必要があるわけです。
最新版は魅力的だけど、みんなが同じバージョンにアップデートしないと、スムーズに仕事が流れない。この「足並みを揃える」という作業が、DTP業界では本当に重要であり、同時に新しいソフト導入の「壁」にもなっているんですよね。
過去の「遺産」と共存する日々
そして、もう一つの大きな問題が、「過去の遺産(レガシー)」です。
これはもう、DTPの現場に携わる人なら誰しもがうなずく「あるある」だと思います。
「このフリーペーパーは、15年前からこのデザインなんだよね」 「このカタログ、前回作ったデータが、Illustrator CS3のまま残ってるんだよ」
皆さんのお手元にも、そんな古いデータがゴロゴロしていませんか?
新規の制作物なら最新環境で快適に作れます。でも、リピート案件や改訂案件、歴史のある会社さんの案件などになると、「過去のデータを開いて流用する」という作業が必須になります。
ここで登場するのが、古いソフト、古いOS、そして何よりも「古いフォント」です。
古いデータを開くには、当時の制作環境に可能な限り近い環境が必要になることがあります。
- 「このデータ、Illustrator 9じゃないと開けないんだ…」
- 「このフォント、今のPCにはインストールできないタイプだ!」
…なんてことになると、もう大変。古いバージョンのOS(例えば、Mac OS X Snow Leopardとか)を動かすための古いPCを、現役の制作PCとは別に置いておかざるを得ない、なんて「博物館」のような制作環境になっている現場も少なくないはずです。
仕事の案件、お客様の要望に合わせて、「あの時の環境」を用意し直す。これは、効率化を目指すデジタル時代においては、逆行しているように見えるかもしれません。しかし、「過去のデータ資産を無駄にしない」という、プロの制作現場としては非常に重要な責務を果たすためには、避けて通れない道なんです。
最新のソフトと古いソフトが共存し、過去と現在が入り混じる。DTP制作環境は、まさに「時間の旅人」なのかもしれませんね。
謎のエラーは「魔女の呪い」?バージョン組み合わせの闇
そして、私たちを最も精神的に追い詰めるのが、「謎のエラー」です。
これはもう、論理で説明がつかないレベルの怪奇現象と言ってもいいかもしれません。
「昨日まで動いていたのに、なぜか今日はレイアウトが崩れる」 「特定の文字を打つと、アプリケーションが落ちる」 「PDFを書き出すと、特定の画像だけがなぜかギザギザになる」
…これらの現象の多くは、OS・アプリ・フォントの「バージョン組み合わせ」の妙によって引き起こされます。
例えば、
- 最新のmacOS Sonomaと、Adobe InDesign 2023の特定のアップデートバージョン。
- この組み合わせで、ある特定の古いフォントを使おうとすると、「カーニング情報」の処理がおかしくなる。
みたいな、「ピンポイントなバグ」ってやつです。
最新OSと最新アプリを使っているのに、「この組み合わせはダメらしいよ」という情報が、コミュニティや掲示板から後追いで流れてくる。私たち制作担当者は、その情報をキャッチするまで、ひたすら「自分のデータが悪いのか?」「PCが壊れたのか?」と、謎の不具合と格闘することになります。
OSがアップデートされるたび、アプリがアップデートされるたび、この「地雷」を踏まないかヒヤヒヤする日々。
制作環境を構成する要素(OS、アプリ、フォント)は、それぞれが別の会社によって開発されています。完璧な連携なんて、正直言って期待できません。だからこそ、私たちは、「このOSバージョンには、このアプリバージョンと、このフォントバージョンを組み合わせるのが、最も安定している」という「黄金の安定環境」を探し求めて、まるで錬金術師のように試行錯誤を繰り返すわけです。
この謎のエラーとの戦い、本当に精神的に疲弊しますよね。もはや、原因不明のエラーは「魔女の呪い」か何かだと思って、お祓いでもしてもらいたい気分です。
突然の「使えません」!フォントとの悲しい別れ
最後に、もう一つ、DTP制作現場の地味〜に痛い問題。それは、「フォント」にまつわる話です。
多くの制作会社やフリーランスの方は、様々な種類のフォントが使える「フォントパッケージ」を契約して利用しているかと思います。モリサワさんとか、ダイナフォントさんとか、様々なメーカーさんが提供してくださっています。
これ、すごく便利なサービスなんですが、たまーに、「突然、使えなくなるフォントが出る」という悲しい出来事が起こります。
フォントメーカーさんが、
- 「このフォントは、ライセンス上の都合で、パッケージから外します」
- 「このフォントは、OSの仕様変更に対応できないため、配布を終了します」
…といった告知をされることがあるんです。
新しいフォントが追加されるのは嬉しいんですが、問題は「使えなくなるフォント」の方。
例えば、あるクライアントさんの名刺や封筒で、長年「A社フォントの○○ゴシックの特定のウェイト」を使っていたとします。それが突然、契約パッケージから消滅してしまったら?
新規の仕事では使わなければいい話ですが、過去の資産、継続案件の「統一性」が非常に重要なお仕事の場合、これはもう大問題です。
- 「代替フォントを探す」→デザインが変わってしまう
- 「そのフォントだけを個別で買い取る」→パッケージ契約の意味が薄れる
- 「使えなくなる前に、データをアウトライン化して保存しておく」→テキスト修正の柔軟性が失われる
…などなど、様々な対策を考えなければなりません。
フォントはデザインの「顔」であり、ブランドの「アイデンティティ」を構成する非常に重要な要素です。その顔が、制作側のコントロールできないところで、突然「使えません」となってしまう。これは、DTPの制作環境における、一種の「不条理」であり、常に付きまとうリスクの一つなんですよね。
まとめ:進化と制約の狭間で
制作環境とソフトウエアの関係について、いろいろとぶっちゃけてきましたが、いかがでしたでしょうか?
最新技術を追い求めつつも、「刷版の制約」「過去の遺産」「バージョンの闇」「フォントの運命」といった、様々な「しがらみ」の中で、私たちは日々データを生み出しています。
DTPの制作現場というのは、ただクリエイティブな仕事をするだけでなく、技術的な問題解決、過去との対話、そして未来のリスク管理まで、全てを要求される、本当に大変で奥深い仕事なんです。
でも、この大変さがあるからこそ、「無事に印刷物になったときの喜び」や「クライアントに喜んでもらえたときの達成感」もひとしおなんですよね!
全国のDTP関係者の皆さん、今日も謎のエラーに負けずに、頑張っていきましょう!